自己破産のタイミングと条件・決断するポイント/借金生活からの解放【part4】
借金に苦しむ多くの人々にとって、自己破産は強力な解決策となる可能性があります。しかし、自己破産手続きを始める前に知っておくべき重要なポイントがいくつかあります。自己破産が可能かどうかは、単に借入額が多いからという理由だけでは決まりません。ここでは、自己破産を考えるべきタイミングと、それを判断する基準について詳しく解説します。
1.自己破産の判断基準
自己破産は、支払不能状態であればできます。
この「支払不能状態」とは、借金の返済期限が来ても、支払うことができない状態であり、さらに、この状態が一時的なものではなく、将来にわたって返済が不可能であると予見される場合を指します。このような状態が続くことが明白な場合、自己破産手続きを検討することになります。
(1)支払不能の状態とは
以下の3つの状態により判断することになります。
(2)返済期限到来時の支払い能力
借金の返済期限が到来した時点で、借り手が実際に持っている資金が必要な返済額に足りない場合。
(3)将来の返済見込み
将来的に収入増加や資産獲得が見込めない場合。例えば、現在の職を失って新たな収入源が見込めない場合や、大幅な収入減が予測される場合など。
(4)持続的な財政困難
継続的に財政状況が改善の見込みがない場合。たとえば、継続的な低収入、高額な固定支出、または治療費などで新たな債務が発生し続けるような状況など。
2.自己破産の決断タイミング/いつが適切なのか?
借金の返済に苦しんでいる方々の中には、自己破産を検討しながらも、「もう少し返済を頑張るべきか?」と悩んでいる方が多いかもしれません。ここでは、自己破産を決断するべきタイミングについて具体的に解説します。
(1)返済の負担が増大している
返済のために新たに借入れをしてしまうという状況は、借金のスパイラルに陥っている明確なサインです。これは返済負担が過剰であり、現状から抜け出すための他の方法を考えるべき時です。
(2)督促が厳しく、利息のみの返済に追われている
借入れを重ねるうちに、支払いの遅れが頻発し、督促が厳しくなることは多々あります。この圧力は精神的な負担も大きく、日常生活にも影響を及ぼします。
また返済の大部分が利息に消え、元本がほとんど減らない状況は、持続可能な返済計画であるとはいえません。このような場合、破産を検討することが賢明な選択となることがあります。
(3)完済の見込みが立たない
借金の総額が自身の返済能力をはるかに超えており、返済計画を見直しても、借金の完済が現実的でない場合では、自己破産が現実的な選択肢になります。完済の見込みが立たない時は、早めの決断が重要です。
3.自己破産の検討①/返済が滞っている
返済の滞りが続く場合、多くの債務者が一連のリスクについて直面する可能性があります。このような場面に直面したときは、自己破産を検討すべきタイミングであるといえます。
(1)訪問による取り立て/滞納のリスク
債権者による突然の自宅訪問は、借金の延滞が原因で発生することがあります。これにより精神的なプレッシャーを伴うことになります。
(2)一括請求の通知/滞納のリスク
「期限の利益喪失」により、残りの借金を一括で支払うよう求められることがあります。この通知は、金融機関からの突然の要求となることが一般的です。
(3)裁判の呼び出しと支払督促/滞納のリスク
返済の延滞が続くと、裁判所から期日呼出状や支払督促状が届くことがあります。これらは、法的な手続きへと移行する重大なサインです。
(4)給与や財産の差し押さえ/滞納のリスク
最終的に、裁判所の命令により給与や預金口座が差し押さえられることもあります。これにより、個人の生活基盤が脅かされる場合があります。
(5)自己破産のタイミング
これらのリスクが現実のものとなる前に、自己破産を検討することが重要です。特に、差し押さえが始まる前に手続きを進めることで、多くの法的リスクを回避できる可能性があります。自己破産手続きが開始されれば、既存の差し押さえは中止され、債務者は新たな出発を切ることができます。
4.自己破産の検討②/利息の支払いしかできていない
借金の返済に苦労しているが、元本が全く減っていないと感じている方へ、この状況は、返済の大部分が利息に消えてしまっており、借金の返済が元本に影響を与えていないために発生します。
(1)毎月の返済が元本にほとんど影響していない
返済をしても元本が減らないのは、返済額の大部分が利息に充てられているためです。これは、借金の総額が大きく、利率が高いために起こります。これでは、いつまで返済を続けてもなかなか元金は減っていきません。
(2)既に支払った利息が借入額を超えている
長期間の返済をしていたとしても、借入れと返済を繰り返していたり利息の支払いしかできていない場合は、既に元本と同額かそれ以上の利息を支払っている状況に陥っている可能性があります。これではいつまで経っても返済のスパイラルから抜け出すことはできません。
(3)利率の見直しと返済額の増加が必要
元本を減らすためには、利率を下げ、毎月の返済額を増やすことが効果的です。しかし、これができない場合、返済計画の見直しや自己破産を考慮する必要があります。しかし、返済額を増やすことが不可能で、借金の状況が改善の見込みがない場合、自己破産が有効な選択肢となります。
5.自己破産の検討③/病気や事故による収入の減少・無収入
自己破産を選択する前に、病気や事故による収入の減少が一時的か永続的かを評価することが重要です。長期にわたる収入の不安定さが見込まれる場合、自己破産が現実的な解決策となりえます。
(1)収入の完全な喪失
病気や事故が原因で働けなくなり、収入が完全に停止した場合。
(2)医療費の膨大な増加
療養に必要な医療費が積み上がり、それを賄うための収入がない。
(3)長期的な収入減少の見込み
病気や事故の影響で、将来的に収入が回復する見込みが極めて低い場合。
(4)自己破産を検討すべきタイミング
病気や事故による収入減や喪失は、返済計画や返済見込みに大きな影響を与える可能性があります。自己破産は、新たな財政的なスタートを切るための一つの手段として、これらの困難な状況下での選択肢となり得ます。
6.自己破産の検討④/勤務先に退職し収入を得られなくなった場合
退職により収入を失った多くの人々が直面するのが、これからの生活と債務の返済方法についての不安です。特に、長期にわたる雇用不安や新たな職の見つからない状況では、自己破産が一つの出口として考えられます。
(1)継続的な収入源の欠如
新たな職を見つけることができず、貯金も底をつきかけている場合、返済が不可能になる前に行動を起こすことが重要です。
(2)返済負担の増大
解雇後、生活費を賄うためだけでなく、既存の借金もあるため、財政的な圧力が増大している状況です。
(3)他の債務整理手法が適用不可能
個人再生や任意整理など、他の債務整理手法が利用できない、または適切でない場合には、自己破産が考慮されます。
7.自己破産の検討⑤/家族の医療費、子供の教育費など、削ることのできない支出の負担が増えたとき
家族の医療費や子供の教育費のような避けられない支出が増加すると、多くの家庭で財政的な圧力が高まります。このような状況での自己破産の検討タイミングを正しく判断することは、家計の持続可能性を確保するために極めて重要です。
(1)持続可能な返済計画が立てられない
医療費や教育費など、必要不可欠な支出により、他の債務返済が持続不可能になった場合。
(2)収入の増加が見込めない
現在の収入源が限られており、支出増加を吸収できる見込みがない場合。
(3)他の債務整理が不可能になった場合
返済することを前提とする任意整理や個人再生などの他の債務整理手段が適用困難であることが明らかになった場合。
8.自己破産の検討⑥/生活保護を受けている
生活保護受給者で借金を抱えている方は、すぐにでも自己破産を検討しましょう。
(1)借金の支払が禁じられている
自己破産は、返済不能な借金を法的に免除してもらうための手続きです。生活保護受給者は特に、本来生活保護費を借金返済に使用することが禁じられていますので、借金問題を解決するための合法的な方法として自己破産が考えられます。
(2)法テラスの民事扶助制度の利用
生活保護を受けている方が自己破産を申し立てる際、法テラスの民事扶助制度を利用することで、手続きにかかる費用の立て替えを受けることが可能です。この制度は、経済的に困難な状況にある人々が適切な法的支援を受けることを支援します。
(3)自己破産後の生活保護の継続
自己破産手続きが完了しても、生活保護の受給資格は維持されるため、生活の基盤を保つことができます。さらに、法テラスへの立て替えた費用の返還が免除されることもありますので、経済的負担を心配する必要がありません。
9.最終的な決断
借金返済の負担が過重である、または将来的に収入回復の見込みがない場合には、自己破産が現実的な選択肢となります。
借金に苦しむ多くの人々にとって、自己破産は一つの解決策です。経済的再出発を成功させるためには、できる限り早い決断が不可欠です。
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