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総量規制オーバーは「終わり」ではなく家計見直しのサイン
「総量規制オーバー」と聞くと、「もうダメかもしれない」「どこからも借りられないのでは」と不安になりがちですが、実務の感覚から言えば、これはむしろ家計と借金を根本から見直すタイミングです。この章では、総量規制の仕組みと、なぜ「借りられない=チャンス」なのかを整理します。
総量規制とは、貸金業法に基づき、消費者金融などの貸金業者からの借入が「年収の3分の1まで」と制限されるルールです。これ以上借りられない状態が「総量規制オーバー」であり、法律上、正規の消費者金融は新たな貸付ができません。
つまり、「総量規制オーバーになっても貸します」という業者は、闇金など違法・危険な業者である可能性が極めて高いということです。ここで無理に借り続けてしまうと、法外な利息や脅迫まがいの取立てに追い込まれることも少なくありません。
実際の相談の現場でも、「限度額いっぱいまで借りてしまった」「今月の返済がもう回らない」といった段階になってから、初めて専門家に相談されるケースがあります。しかし、本当はその前に、つまり「借りられなくなりそうだ」と感じた段階で相談を始めるのが理想です。とはいえ、気づいたタイミングが遅くても、まだ打つ手はあります。次の章で、まずやってはいけない考え方から整理していきます。
おまとめローンに飛びつくのが危険な理由
「複数社の借入を一本化すれば、金利が下がって楽になるはず」。
総量規制で新たな借入ができなくなったとき、多くの方が「おまとめローン(借換えローン)」を検討します。たしかに条件が良ければ月々の返済額が下がることもありますが、債務整理の相談現場の感覚としては、おまとめローンが借金問題の「決定打」になるケースは多くありません。むしろ状況を長引かせたり、悪化させたりするリスクもあります。
ここでは、その代表的なポイントを3つに絞ってお伝えします。
1.月々の返済が軽くなっても、支払総額は増えやすい
おまとめローンの「月々の返済が減る」というメリットは、返済期間を長くすることで実現していることが多いです。
たとえば200万円を年15%で借りて3年程度で返す場合と、月々の負担を下げて10年かけて返す場合とでは、トータルの利息に大きな差が生まれます。「毎月が楽になった」と感じている裏側で、支払総額が大きく膨らんでしまうことは珍しくありません。
2.「枠が空いたから、少しだけ…」という再借入の罠
A社・B社・C社の借入をD社のおまとめローンで一本化すると、D社がA・B・C社に返済するため、A・B・C社の残高はいったんゼロになり、利用枠が空いた状態になります。
このとき生活費が足りなくなると、「枠が空いているし、少しだけなら」とA社などから再び借りてしまうケースが少なくありません。結果として、おまとめローン(D社)の返済に加え、A・B・C社からの再借入が積み上がり、借金総額がむしろ増えてしまうこともあります。
3.総量規制オーバーでは、そもそも通りにくい
総量規制オーバーの状態は、金融機関から見ると「返済状況が厳しくなっているサイン」です。銀行などの低金利なおまとめローンは審査が厳しく、すでに返済に行き詰まりかけている方が通る可能性は高くありません。
その結果、「審査が甘い」「ブラックでもOK」といった宣伝をする業者に流れてしまい、高金利の契約を結ばされたり、実態はヤミ金に近い業者と関わってしまったりするリスクが出てきます。
借金を増やさず毎月の返済を減らす選択肢
総量規制オーバーになると、「まずは今月の支払いだけでも何とかしたい」と考えるのがふつうです。ですが、心の中では本当は、「この先ずっと借金に追われたくない」「家族にこれ以上迷惑をかけたくない」と思っているのではないでしょうか。
この章では、新しくお金を借りるのではなく、今の返済額そのものを減らしていくための方法を、できるだけ分かりやすく説明します。
任意整理で将来利息をカットする
最初に検討されることが多いのが任意整理です。任意整理とは、裁判所を通さずに司法書士や弁護士がカード会社・消費者金融と直接交渉し、「将来の利息をカットしてもらい、元金だけを分割で返していく」手続きです。
名古屋の当事務所でも、毎月の返済が苦しくなった方からのご相談では、まず任意整理を有力な選択肢のひとつとしてご説明することがあります。
【任意整理のメリット】
- 将来の利息がカットされ、「いつ完済できるか」が見える返済計画に変えられる
- 裁判所を通さずに進められるため、手続きが比較的シンプルで、裁判所に出向く必要がない
【知っておくべきデメリット】
- 信用情報に事故情報が登録され、一定期間(通常5年程度)は新たな借入やクレジットカードの作成が難しくなる
こうしたメリットとデメリットをふまえて、「このままその場しのぎでお金を借り続ける生活」か、「一時的な不便を受け入れてでも、いつ終わるかはっきりした返済に変える生活」か。どちらが自分や家族にとって本当に望ましいのか、一度立ち止まって考えてみることが大切です。
その他の債務整理(個人再生・自己破産)を検討すべきケース
債務総額が大きく、任意整理では毎月の支払い額を十分に下げられない場合、個人再生や自己破産といった他の債務整理手続きが選択肢になることもあります。個人再生は、裁判所の認可を受けて借金を大幅に減額し、原則3〜5年で分割返済していく制度です。自己破産は、一定の条件のもとで借金の支払い義務を免除してもらう制度です。
どの手続きが適切かは、借金総額・収入・財産・家族構成・今後の生活設計などで変わります。司法書士法人エベレストでは、多数の債務整理を扱ってきた経験から、「任意整理で済むのか」「再生や破産を視野に入れるべきか」を個別の事情に合わせて検討し、最適なルートをご提案しています。
総量規制オーバーから毎月返済を半分にできたケース
「本当に返済額が減るのか」「自分のケースにも当てはまるのか」と不安な方は、実際の事例を知ることでイメージがしやすくなります。ここでは、名古屋市在住の会社員の方のケースをもとに、どのように生活再建につながったのかをご紹介します。
相談者:Aさん(30代・会社員)
消費者金融やクレジットカードなど4社から合計約180万円を借入(年収約400万円)。
月々の返済額は約7万円でしたが、ついに限度額がいっぱいになり、当事務所へ相談。
▼ 任意整理を行った結果 ▼
- 将来利息のカットに成功
- 毎月の返済:約7万2,000円 → 約3万6,000円(ほぼ半額)
- 将来払うはずだった約80万円以上の利息がゼロに
Aさんは、「それまでは『どこで借りれば乗り切れるか』しか考えられなかったが、『返済額を減らす』という発想自体がなかった」と話しておられました。総量規制オーバーになったことが結果的に自転車操業を止めるきっかけとなり、数年後の完済を現実的に目指せる形に変えることができたのです。
総量規制オーバーに関するよくある質問(Q&A)
最後に、実際の相談でよくいただく質問と、その考え方をQ&A形式でまとめます。自分の状況に近いものがあれば、参考にしてください。
Q. 総量規制オーバーでも借りられる「審査が激甘」な会社はありますか?
A. 正規の貸金業者ではなく、違法業者である可能性が極めて高いと考えてください。絶対に手を出さないでください。
貸金業法に従って営業している正規の業者は、総量規制を守る義務があります。「ブラックでもOK」「誰でも即日融資」といった広告を出している業者の多くは、違法な闇金か、個人情報を狙った詐欺業者である可能性が高いです。一度でも関わると、法外な利息や違法な取立てに苦しめられるおそれが高く、問題がさらに深刻化します。
Q. 銀行カードローンなら総量規制対象外だから借りられますか?
A. 法律上は対象外ですが、実務上は審査が非常に厳しくなっています。
銀行は貸金業法ではなく銀行法の規制を受けるため、総量規制の直接の対象ではありません。しかし、多重債務問題への社会的批判を受けて、現在は総量規制と同等かそれ以上に厳しい審査が行われています。すでに年収の3分の1近い借入がある場合、銀行カードローンの審査に通る可能性は高くありません。
Q. 総量規制オーバーになったら、必ず債務整理をしないといけませんか?
A. 必ずしもそうとは限りませんが、「検討を始めるタイミング」ではあります。
家計の見直しや一時的な収入アップで乗り切れるケースもありますが、経験上、総量規制オーバーに達している時点で、すでに家計が限界に近いことが多いのも事実です。「まだ何とかなる」と先延ばしにすると、結果として闇金やカード現金化など危険な手段に流れてしまうリスクが高まります。「総量規制オーバー=債務整理を真剣に検討し始めるサイン」と考えるのがおすすめです。
Q. 今月の生活費が本当に足りないとき、公的な貸付制度を使ってもいいですか?
A. ヤミ金に手を出さないための選択肢としては「アリ」ですが、借金問題の解決そのものにはなりません。
「今月の生活費が足りない」と追い詰められても、ヤミ金やSNSの個人間融資には絶対に手を出さないでください。どうしても一時的な資金が必要な場合は、お住まいの市区町村の社会福祉協議会が窓口となる生活福祉資金貸付制度など、公的なセーフティネットを優先して検討すべきです。無利子または低金利で利用できる一方で、あくまで当面の生活費を支えるための制度であり、消費者金融などの借金を片付けるためのものではありません。
根本的な借金問題を解決するには、まず司法書士などの専門家に債務整理の相談を行い、返済負担を減らしたうえで、必要に応じて公的制度を併用するのが基本です。公的貸付は「ヤミ金に行かないための安全な一時しのぎ」と捉え、メインの解決策はあくまで任意整理や個人再生・自己破産といった債務整理だと考えておくとよいでしょう。
まとめ|総量規制オーバーは「借り増し」ではなく債務整理を考えるサイン
総量規制オーバーは、「これ以上借金を増やしてはいけない」という家計からの警告です。最後に、本記事のポイントを整理します。
- 総量規制オーバーは「終わり」ではなく、借金と家計を見直すサインである
- おまとめローンは法律上の例外でも、審査は厳しく、根本解決にならないことが多い
- 新たな借金よりも、任意整理などで毎月の返済額と将来利息を減らすことが生活再建の近道
- 総量規制オーバーから任意整理で毎月返済を半分にできた事例がある
- どうしても生活費が足りない場合は、公的な貸付制度の利用を優先し、危険な業者には近づかない
司法書士法人エベレスト(名古屋)では、総量規制オーバーでお悩みの方からの無料相談を受け付けています。「自己破産しかないのでは…」と不安な方でも、任意整理など別の解決策が見つかることは少なくありません。
まずは、電話・メール・LINEなど、話しやすい方法で今の状況をお聞かせください。「どこから借りるか」ではなく、「どう減らすか」「どう生活を守るか」を、一緒に考えていきましょう。