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期限の利益を喪失するとどうなるの?

コラム

2024.04.18

住宅ローンやカードローンなどの借り入れについて、期限までの返済に何度か遅れてしまうと、期限の利益喪失通知という書面が届きます。

そもそも期限の利益とは何でしょうか?
また、そのまま放置していたら、どのような問題が起こるのでしょうか?

期限の利益を喪失すると、一括払いの請求をされる事になります。また、遅延損害金が発生するため、支払いをしなければならない金額が増えてしまいます。

特に借り入れの金額が大きい住宅ローンについては、注意が必要です。

期限の利益を失うと、大きな遅延損害金が発生し、延滞の状態を放置すると競売により自宅を失うリスクがあります。

もし、期限の利益を喪失するという通知が届いたという方は、この記事の内容を確認して、早めの対応をとることをおすすめします。

期限の利益とは

期限の利益とは、決められた期限までは返済をしなくてもよいという、支払いをする側の利益(メリット)です。決められた期限までは、支払いが猶予されます。

例えば、あなたがお金を借りて、返済の期日を1年後に設定したとします。この場合、期限の利益があるおかげで、その1年間は返済を心配する必要がありません。

しかし、お金を借りた人(債務者)にとってメリットがありますが、お金を貸した人(債権者)にとっては、お金が戻ってくるのが遅れるリスクがあります。

ですので、債務者の経済状況が悪化するなど、一定の条件にあてはまると、期限の利益を失ってしまいます。これを「期限の利益の喪失」といいます。

期限の利益を喪失する場合とは

期限の利益を喪失する原因(喪失事由)となるものは、大きく分けて、法律で決められているものと、契約によって決められているものとがあります。

法律上の期限の利益喪失事由

民法の137条に期限の利益を喪失する場合として3つ規定があります。

(期限の利益の喪失)
第137条
次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
1.債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2.債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
3.債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

つまり、債権者にとって損失を被るリスクが高まるような状況が定められています。

契約による期限の利益喪失事由(期限の利益喪失条項)

期限の利益喪失事由として、契約によって様々なものを定めることができます。

代表的な例としては、以下のようなものがあります。

支払いが遅延した場合
債務整理を行った場合
財産状態が悪くなったり、不正が明らかになったりした場合
財産が差し押さえられた場合
債務者が亡くなった場合
債務者の居場所が分からなくなった場合
債務者が暴力団などの反社会的な団体の一員であることが判明した場合

期限の利益を喪失するケースで多いのは、支払いが遅れてしまった場合だと思います。一般的には、「支払を1回でも遅滞した場合」には、期限の利益を喪失し、直ちに債務の全額を支払う等と定められています。

期限の利益の喪失をするとどうなるか

期限の利益を喪失すると、以下のような事が起こります。

・一括払いを求められる
・遅延損害金が発生する
・住宅ローンの場合は、競売手続きが行われ、自宅を失う可能性がある。
・保証人(連帯保証人)へ請求がされる。

期限の利益を喪失するということは、今後は分割払いが認められず、相手から一括払いを求められるということです。そして、相手からの一括請求に支払いができないと遅延損害金が発生します。遅延損害金は、支払いが遅れた事のペナルティ的な意味合いを持ちますので、ある程度高い利率が定められている事が通常ですので、その負担は大きなものとなります。

特に、住宅ローンのように残高が大きい場合は、遅延損害金の額も大きくなります。また、住宅ローンの場合には、金融機関の担保が設定されていますので、状況によっては、不動産競売(担保不動産競売)の申立が行われ、自宅を失ってしまうことになります。

その他にも、期限の利益を喪失している状態を放置していると、保証人に対しても一括払いの請求がされてしまったり、給与や銀行口座などの財産の差し押さえを受ける可能性もあります。



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期限の利益を喪失してしまった場合の対処法

遅れてしまった支払いをする

契約書には、「支払を1回でも遅延した場合には期限の利益を喪失する」と定められていることが多いですが、実際には返済期日を少し過ぎてしまっても、すぐに支払いを行えば大きな問題にはなりにくい場合が多いです。そのため、支払いの期日に遅れてしまった場合でも、なるべく早い時期に支払いをすることが重要です。

債権者と交渉する

期限の利益を喪失した後でも、債権者との話し合いは有効です。具体的な返済の見込みや方法などについて話し合いを行い、分割払いで返済を続けていく事が可能な場合があります。

債務整理を検討する

どうしても返済ができない場合や、自分で交渉をしてもうまくいかなかった場合には、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。司法書士などの専門家の介入により、将来の利息をカットしたり、無理なく支払えるように分割払いの計画を債権者と話し合ってまとめる事ができる可能性があります。

まとめ

期限の利益を喪失すると、一括払いの請求をされる事になります。また、遅延損害金が発生するため、支払いをしなければならない金額が増えてしまいます。

住宅ローンの支払いが遅れている場合には、特に注意が必要です。住宅ローンの期限の利益を喪失してしまった場合は、借りている金額が大きいため、遅延損害金の負担も大きくなります。そのまま放置していると、競売手続きが行われ、自宅を失う可能性もあります。

期限の利益喪失通知が届いた場合は、放置せず、専門家へご相談ください。

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