CONTENTS コンテンツ

遅延損害金のことを理解し、正しく対処しよう

コラム

2024.01.16

遅延損害金は、返済期日に遅れたことに対する一種のペナルティです。契約や法律に基づいて計算され、元の借金に対する一定の割合で加算されます。

遅延損害金の利率は多くの場合、14.6%〜20%に設定されており、通常の利息より高く設定されています。借金を放置すればするほど、遅延損害金が膨らんでしまいます。

こちらの記事では、遅延損害金の計算方法、法律によって定められた上限、そして返済が難しくなった場合の解決方法について詳しく説明します。

この記事の概要

1.遅延損害金の利率
遅延損害金の利率は、当事者間で決めることができ、その上限は、消費者契約法(上限14.6%)や利息制限法(上限29.2%)に定められています。

2.遅延損害金の計算方法
遅延損害金は、滞納した借入額に対する遅延損害金の利率を年単位で割り、滞納日数を乗じて計算します。一括払いの場合は借入全額に対し、分割払いの場合は滞納した分割払い額に対して計算されます。

3.放置するリスク
借金の返済を放置すると、遅延損害金が膨らみ、信用情報が悪化し、様々な影響を及ぼします。長期間の滞納は債権者による裁判のリスクを高め、最終的には財産差し押さえの可能性があります。

4.対処法
遅延損害金が発生した場合、早期に借入先と協議し、支払い期日の延期や返済計画の見直しを要請する。自己解決が難しい場合は、司法書士などの専門家へ相談することで、任意整理や自己破産、個人再生手続を通じて対処することが可能です。

5.借り入れ先からの遅延損害金の大幅減額提案について

遅延損害金とは

遅延損害金は、返済期日に遅れたことに対する一種のペナルティです。契約や法律に基づいて計算され、元の借金に対する一定の割合で加算されます。

遅延損害金の利率は多くの場合、14.6%〜20%に設定されており、通常の利息より高く設定されています。借金を放置すればするほど、遅延損害金が膨らんでしまいます。

遅延損害金の利率はどのように設定されているか?

遅延損害金の利率には、法定利率と約定利率の2種類があります。民法では、法定利率は3%とされていますが、当事者間で別の利率を決めることができ、これを約定利率と呼びます。

以前は5%で固定されていましたが、民法の改正により、当初3%に設定し、その後3年ごとに見直す変動制に変わりました。

約定利率が法定利率を超える場合、約定利率が適用されますが、上限が存在します。例えば、クレジットカードのショッピング利用には消費者契約法によって上限が14.6%と定められています。

また、お金の貸し借りには利息制限法が適用され、この法律により遅延損害金の上限は、利息制限法で定められた利率の1.46倍までとされています。

遅延損害金の利率は元金の額によって違いがあり、具体的には以下の通りとなります。
この上限を超える遅延損害金は無効となります。

元本の額が10万円未満の場合・・・年29.2%
元本の額が10万円以上100万円未満の場合・・・年26.28%
元本の額が100万円以上の場合・・・年21.9%

消費者金融業者などの業者が貸付を行う際には、上限が20%に制限されています。(利息制限法7条1項)

お金の貸し借りにおいては、どうしても借主が弱い立場に立たされます。そこで、借主が過剰な利息負担に苦しむことを防ぐ目的で利息制限法が定められました。
このように借主を保護するための法律ですので、個人間の貸し借りにも適用されます。

遅延損害金の計算方法は?

一括払いの場合

例えば、50万円を一括返済の約束で借りて、30日滞納してしまったら、遅延損害金はいくらになるでしょうか?

遅延損害金の計算方法は、以下の通りとなります。

返済が遅れてしまった借入額 × 遅延損害金の利率 ÷ 365日 × 滞納日数

遅延損害金の年率が20%で計算すると、

50万円 × 20% ÷ 365日 × 30日 = 約8,219円 となります。

一括払いの契約なので、借入残高全体に対して、遅延損害金が発生します。滞納期間が長くなればなるほど、遅延損害金は大きくなり、借金の総額が増加する仕組みです。また、遅延損害金を支払っても、本来の借金の額は減少しないため、返済の負担が増えてしまいます。

分割払いの場合

一括払いの契約で借入をした場合に支払いが遅れると、その全額に対して遅延損害金がかかりますが、分割払いの場合、一回の滞納があったとしても、元本全体に遅延損害金が適用されるわけではなく、滞納した分割払いの額にのみ適用されます。

例えば、毎月の返済額が5万円の場合、50日滞納したときに遅延損害金はいくらになるでしょうか?遅延損害金の年率は20%とします。

1カ月目
5万円 × 20% ÷ 365日 × 30日 = 約821円

2カ月目
10万円(返済2回分) × 20% ÷ 365日 × 20日= 約1095円

分割払いで2ヶ月目に入ると、支払うべき額が2ヶ月分になりますので、2ヶ月目以降は、遅延損害金の額が大きくなっていきます。

また、分割払いの契約でも、支払いが遅れてしまうと、期限の利益を喪失し、借入先から一括払いを求められます。このような状況になると、一括払いの契約と同じく、借入の総額に対して遅延損害金が発生します。

借金の支払いを放置すると?

借金の返済を放置すると、遅延損害金が膨らんでいき、返済の負担が大きくなっていきます。

他にも、滞納が続くと、信用情報に滞納の情報が掲載され、いわゆるブラックリストに掲載される状態となります。このような状態になると、今後のローン契約やクレジットカードの新規発行、使用に影響を及ぼします。

また、長期間の滞納は、債権者から裁判を起こされるリスクを高めます。滞納期間が2~3ヶ月に及ぶと、損害金を含めて一括して返済が求められる可能性がありますが、さらに督促を放置し続けると、債権者から裁判を起こされる可能性が高まります。

もし裁判所から書類が届いた場合は放置せず、司法書士などの専門家へご相談ください。そのまま何も対応せず放置していると、相手の言い分通りの判決が下され、債権者は貸したお金を回収するために、預貯金や給与、不動産の差し押さえを行うことが可能となります。

遅延損害金は支払う必要があるのか?

そもそも遅延損害金を支払う必要があるのでしょうか?

遅延損害金の支払い義務は、ほとんどの場合、契約で規定されています。契約に具体的な規定がない場合でも、民法に基づいて支払わなければなりません。このため、遅延損害金は、支払う必要があることを理解しておくことが重要です。

遅延損害金が膨らんでしまったときの対処法

借金の返済期限に遅れてしまい遅延損害金が発生してしまった場合、どのような対処法があるでしょうか?

遅延損害金が大きくなり、支払いができなくなる前であれば、借入先に連絡して、支払い期日の延期や返済計画の見直しをしてもらえないか相談してみる方法もあります。

ただし、この方法で一時的に対応できたとしても、借金を完済しない限り利息は継続して発生するため、状況は依然として厳しいままかもしれません。さらに、将来的に再び支払いの期限に遅れると、遅延損害金が発生するリスクもあります。このように自分だけで解決が難しいと感じた場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

こちらでは、司法書士や弁護士などの専門家が行う債務整理の手続きについて説明をしていきますので、ご覧ください。

解決方法1 任意整理

任意整理は、債権者と直接交渉して、利息カットや支払い額の調整を行う手続きです。既に発生している利息や遅延損害金についても、交渉を行いますが、なかなか減額に応じないケースが多いです。

ですので、基本的には、既に発生している利息や遅延損害金を含めた金額について、3~5年程度で完済できるように支払いをする方法です。

解決方法2 自己破産、個人再生

遅延損害金が大きく膨らんでしまい、3~5年程度で完済ができない状況であれば、自己破産手続きと個人再生による解決も検討が必要となるかもしれません。

自己破産手続きは、借金返済ができなくなった時に裁判所で行う手続きです。
持っている財産を売却して債権者に分配し、それでも返済ができない残りの借金は免除されます。(一部免責されない債権もあります。)最低限、生活に必要な財産は手元に残せますが、例えば、住宅や車など高額が財産は処分の対象となります。

個人再生手続きは、裁判所を通して手続きすることで、借金の額を約5分の1に減額できる手続きです。借金を圧縮した上で、原則3年で完済できるように分割払いをしてきます。
利用する条件として、安定的な収入があり、継続して返済できる見込みがないと利用できません。

まとめ

遅延損害金は、返済が遅れた場合に発生する一種のペナルティで、通常の利息より高い利率で計算されます。借金を放置すればするほど、遅延損害金が膨らんでいきます。

遅延損害金が膨らむと、返済の負担が大きくなっていきますし、長期間の滞納は、債権者からの裁判提起のリスクを高め、最終的には財産差し押さえの可能性もあります。

遅延損害金が膨らみ、支払いが難しくなった場合、自分で解決が難しいと感じたら、専門家(司法書士や弁護士)に相談することをお勧めします。

注意:遅延損害金の大幅減額提案にはご注意ください!

遅延損害金は支払い義務があると説明をしてきましたが、もし、借入先から遅延損害金を大幅に減額するという提案があったら注意が必要です。

実はこのようなケースでは、時効が成立している可能性があります。5年以上、借金を返済していない状況であれば、時効援用によって、遅延損害金を含めて借金の返済を免れることができる可能性がありますので、安易に業者と連絡をとらず、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

借金トラブルサポートルームを運営する司法書士法人エベレストでは、無料相談を受け付けております。

LINEにて簡単にご相談いただけますので、お気軽にどうぞ。

友だち追加

この記事をシェアする